minamina日記

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help リーダーに追加 RSS もったいない・・・!:ブレンデルのシューベルト。

<<   作成日時 : 2008/08/19 23:30   >>

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野球、清原選手が引退するそうですね。
41歳。この間、たまたま清原選手の打席を見ました。
大きなセンターフライだった。でも、昔の彼ならあれはバックスクリーンにたたき込んでたんじゃないかと・・・
なんだか寂しくなりました・・・引退もやむなし、というところでしょう、
やむなし、どころか、本当にお疲れ様、と心から思います。
高校野球時代から楽しませてもらいましたからね。

そんなつながりではないのですが
今年年末で引退をすると明言しているブレンデル。
運良く2回ほど彼の演奏に接することが出来ました。
特に、音の哲学書のようなベートーヴェンのディアベッリ変奏曲が未だに忘れられません。

ブレンデルの音楽を堅苦しいだ、つまらないだとかいう方々がいますが
意外とそういう方々に限って、「精神性」とかいう言葉でもって、
デフォルメされたへんてこ演奏をもてはやしたりする傾向がないでしょうか?

いや、まぁいいんですけれど。

でも、カントとかヘーゲルを少しでもかじった人なら分かると思うけど
全く隙のない論理性と客観性、そして明晰な英知で書かれた哲学書は
むしろ堅苦しさから解放されて、無限に広がる小宇宙のような世界が繰り広げられていたりする。
ブレンデルの演奏って、そういう、言ってみれば論理を超えた「自由さ」がある、
そう個人的には感じたりしているのです。

ブレンデルの演奏、特に、モーツァルト、シューベルトを聴いているとそんなことを感じるのですよね。

ブレンデルの得意としたシューベルト。
ウィーン情緒あふれるシューベルトとは全く一線を画した、
きっちりとしたシューベルトです。悪い言い方をすれば淡々と弾かれていると言ってもいいかもしれません。
どこをとってもこれ以上はないというタッチとバランス。次々積み重ねられるモティーフ。
これをあたかも当たり前のように聴かせてしまう技量。
こうも当たり前に響いてくる、まさにそこから、
底知れぬ恐怖感があふれてきやしないでしょうか。


シューベルト:ピアノ・ソナタ第14番イ短調D.784
第17番ニ長調D.850
ブレンデル(p)

画像


「のだめ」なんちゃらで(おいおい)、
超マイナー曲から、一躍超メジャー曲になった(かどうかは知らないが)
D.784のイ短調のソナタ。
これなども、あまり情感込めて弾かれると、
小倉トーストにガムシロップをかけたように甘ったるくなってしまうところ、
しっかりと音楽を見つめて冷静に分析している。
そうすると、自然とシューベルト独特の香りが立ち上ってくる。

例えば、ルプーの演奏−これはまたブレンデルとは違った方向でのすばらしい演奏ですが−
と比較して、1楽章、ユニゾンで上下する主題はそれぞれ大きな響きの違いはないけれども、
もうそのあとの左手の二分音符+八分音符の下降音型の響かせ方になるとルプーは八分音符の方を比較的長く弾き、ぼんやりとした響きを弾かせようとルプーの意志がはっきり出てくる。
そして左手がトリルになるとますますその傾向が強くなり、ピアニストの主張が強くなる。
こうなると、シューベルトの香りももちろんするが、と同時にピアニストの香りも濃厚になる。

それに比べ、ブレンデルはどこまで行ってもシューベルト。
淡々と、しかし確実にクレシェンドのかかる綿密に計算されたトリルを聴くと、
ピアニストの存在が消えてしまったのではないかと言うぐらい、シューベルトの音楽の骨格しか聞こえてこない。
ただそこには明らかにブレンデルという知能が介在しているわけです。

どちらがいいというわけではないです。両方すばらしい音楽です。
ただ、ブレンデルを聴いたあとに、ルプーの演奏を聴くと、
そのピアニストの香りが多少出すぎ、少し押しつけがましく聞こえることがないでしょうか?
それによって、シューベルトが自由に響いていないような気がするときがある。

ブレンデルの演奏で感じる、論理を超えた「自由さ」と書いたのはこういうことです。
もちろん再現芸術である「音楽」だから、演奏者の意図が明確にならなくてはだめだ!という意見も分かりますが、かといって、ブレンデルのような演奏をつまらないと言って問答無用に切り捨てるのは、

矢沢永吉風に言って・・・


もったいない・・・


私の舌足らずな言葉では、とうてい伝わらないと思いますので、
ぜひ、ブレンデルのシューベルトのCDをお聴きいただければと思います。


ああ、そういえば、アンコールでシューベルトの即興曲の最初、
思いっきりffの和音をミスって、あたふたしていたブレンデルをみて
名手でもこういうことがあるんだなぁ、とほほえましく思ってしまった私でありました・・・
いい思い出です。


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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
ブレンデルの生演奏に接することができなかったことは残念です。伊藤恵さんもステージでよくブレンデルの素晴らしさに触れます。今年の春のリサイタルでも、夏に彼の最後のライヴに
接する事になるといってました。彼女は約20年シューベルトを弾くのを控えてきたらしいですが、それはブレンデルのシューベルトの生演奏に触れその凄さに衝撃を受けたせいとのことです。そしてピアニストとしてやっていけるのか真剣に悩んだそうです。最近発売された、シューベルトのディスクはブレンデルと同等とは行きませんが、彼女が少しでもブレンデルの域に近づこうとした成果が見られると思います。よろしければ聴いてください。宇野コーホーなる方はブレンデルもぼろくそにけなしますが、彼の評論の基準はどこにあるのか良くわかりません。自分の好みだけで評論が成り立つなら、苦労はないですよね!




ヤマゲン
2008/08/22 00:18
ブレンデル、今年60周年で演奏活動終了ですか。。。
お疲れ様ですね〜。
演奏はTVでしか見たことありませんが、ベートーヴェンのコンチェルト#3は、こんなふうにオケと調和するのだということが、分かった気がしました。
それに、ふと名曲アルバム?でシューベルトがかかっていて、美しい音だなあと思っていたら、ピアノ:ブレンデルの字幕が出て、あ〜あって思ったこともありました。
私はそんな印象をもっていました。
ツアー、近くなら足を運びたいところですが、て希望だけ書いてみました^^。
steph
2008/08/23 00:41
>ヤマゲンさま
そうですか!伊藤恵さんもそんなことを仰っていましたか!分かる人には分かるのだな(笑)
恵さん、シューベルトではブレンデルに引け目を感じるかもしれませんが、シューマンではブレンデル超えてますから大丈夫!(なんて偉そうに言ってみる)。でも恵さんのシューベルト、興味があるので今度聴いてみたいと思います!
宇野ちんと許なんちゃらはB級大衆小説と考えて読むとちょうどいいです(笑)。そして私にとってはかけがえのない(?)反面教師。クラシック普及に貢献されていると思いますし、こういう方々も必要だと思っちょります・・・
minamina
2008/08/23 08:57
>stephさま
あー、そのベートーヴェンはアバド指揮ルツェルン祝祭管のやつではないですか?あれは本当に素晴らしい!あー、録画してるからあとで見よう、なんて思ってダラダラ見ていたらすっかり入り込んでしまって、次のブルックナーまでリアルタイムで最後まで見てしまった・・・
ブレンデルのタッチは、もちろん綺麗なのですが、ポリーニ、ツィメルマンなどの技巧系に比べて、少し丸みがあって温かい感じがします。この辺もシューベルトが素晴らしく響く秘密なのかもしれません。前は日本好きだみたいなことを言っていたのですが、すっかり来なくなってしまいました。最後のツアーも日本には来ないようで。何かあったんでしょうかね?残念です。
minamina
2008/08/23 08:57
まさにそのとおりです。途中、アバドも乙女ポーズ?をして、嬉しそうでした。録画もしてますよ〜。保存版になるかも。
そういえば、ツィメルマンは日本に自宅を持ったとか。来日が多いので落ち着ける自宅を持ちたいとの理由らしいですね。
steph
2008/08/23 20:13

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