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こういう演奏会の時の感想 (というほどのものでもない、ただの雑記みたいなものだけれど)って非常に書きづらい。 ご贔屓のピアニストであるから故、何を書いてもエゴイスティックに、やもするとファナティックに美辞を並べるだけになってしまうだろうから。 なので、最初に好ましくないな、と言うところを書き出してしまおうかと。 まず非常に個人的な部分から。 いつものごとくPブロック、一番上ですぐ後ろは通路を挟んでオルガンといったところだったのですが、演奏中に、「ガツッ!」といった音が数回鳴って、すこし興が削がれた。なんの音だったのだろう。主催者側にあまり文句は言いたくないが、ぜひ改善してもらいたいと思う。 オーケストラ。 先週のフィラデルフィア管弦楽団を聴いてしまった私の耳にはやはり少しばかりその音の潤いに差が感じられました。よく言えば質実剛健な響き、悪く言えば少々粗めのがさつな音。 個々人の技量も、若干劣る感じ。特に木管、さらに言えばクラリネットはかなり薄っぺらい音でした。これはドイツのオケにしては珍しいかなと。金管楽器もトランペット、ホルンが怪しいところを見せたり。 そしてグリモーのピアノ。 2年前だったか、ソロで聴いたときよりも格段に音楽の表現の幅が広がっていたように思います。ffは強靱さを増し、ppは繊細さと煌めき、そして深みをさらに増していました。 しかし、前回の時にも感じた、その間の音をやはりもう少しだけ聴かせてほしかった。非常に強弱、明暗のはっきりとしたコントラストのある演奏と感じる人がいるのと同じぐらい強と弱、明と暗だけで、ただのうるさい演奏で、全く好みではない、と感じる人がいてもおかしくないと思う。 まぁでも、聴いているうちにそんなことはどうでもよくなりました。 そういう好みじゃないところを補って余りあるほど素晴らしい部分が多かったから。 「皇帝」、非常にメリハリのきいた演奏でした。 このメリハリ、後半の演奏にもいえることなので、おそらく指揮者の音楽の特質だと思いますが、特に2楽章のヴィヴラートを極力抑えたキーンと張りつめた弱音、そして硬めのマレットで刺激的な音を奏でるティンパニなど、いわゆる「ピリオド奏法」を取り入れた演奏で、非常にコントラストを強調していました。 そしてグリモーも、それに相呼応するように、強靱な低音域、きらびやかな高音域を使い分けていたように思います。 (もちろん流れるように弾かれる上昇・下降の音符がそれをつないでいるわけですが) 全体的に、とかく重厚で荘重に演奏されがちなこの曲を弱音に比重を置きながらヴィヴィットで華やかに仕上げていこうという意思を感じました。 特に2楽章は、やたらと意味ありげに弾く演奏が多い中、グリモーのピアノは瞑想的でありながらとても解放感があって幸福感が強く感じ取れました。この楽章が今日の白眉と言っていいかもしれません。 3楽章の風を切るような爽快な演奏のあと、 グリモーのアンコール。 まさかのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番より第一楽章。 (私のこの曲(とこのあとの2曲のソナタ)の偏愛ぶりはいつか書ければなぁ、と思っているのですが) 私のこの曲のイメージと一番シンクロナイズした演奏がこの日弾かれたグリモーの演奏でした。 繊細なタッチ、左手の打鍵の重厚感、なめらかな上昇・下降音型。エクスタシーすら感じさせる絶対的な高音のpp。 そして最後の瞑想的な終わり方。叙情的な中に垣間見せる諦念。そのバランスの良さ。 ありえん。全くありえん。 このソナタに一番グリモーの成長ぶりを見た気がします。 後半のブルックナー。 「ppをきれいに出す練習をしなさい。ppがきれいに出せれば、そんなに大きな音を出さなくても、ものすごくダイナミクスがある演奏に聞こえるから」 「音を豊かに響かせるには倍音を多くすること、それには中低音域をしっかり出して上を支えること」 高校の時の吹奏楽部でよく指導されたものです。 いわゆる音の作り方。 とするならば、パーヴォ・ヤルヴィは本当に音の作り方を知っている。 グリモーと同じように、研ぎ澄まされたppを基調としながら、綿密に声部を描き分け、ブレンドしていく手法。 特に2楽章の音作りは、見事としか言い様のないものでした。 ヴィオラとチェロの明確な伴奏系の音がよく聞こえ、この伴奏系が上を支えていると同時に、とても新鮮な感じを与えてくれます。 例えば、37小節(練習番号D)からVlaとVcが8部音符で音を上下する伴奏をやって1stVnの主旋律を支えているのですが、これが133小節目になるとVlaが今度は1stVnの弾いていた旋律を奏でるわけですね。で、1stVnはあらたな対旋律を朗々と絡み合わせる。 何気ないところですが、こういうところを改めてきっちりと分からせてくれたりするんです。 さらに。あのクライマックスまで行く長大なクレシェンド、ああ、ここでこんなに大きな音になったら次はどうするんだろうと思っていたらさらにぐっと大きな音でクライマックスを鳴らし切った。 思えばこのクライマックスの音だって、この間のフィラデルフィア管の耳をつんざく爆裂音に比べればよっぽど耳に心地よく響く。 これは最弱音が研ぎ澄まされているからこそ、最強音を余裕を持って奏される典型的な例です。 (このクライマックスの時、優しく音を抱え込むように大きく両手を広げてふくよかなオルガン・トーンを導き出そうとしていたパーヴォの指揮ぶりが印象的)。 こういう緻密な設定があるから、最後のワーグナーテューバの葬送のモチーフが本当に荘厳に、胸に響く。 この指揮者、1962年生まれですぞ! そして、ブルックナーの7番の後のアンコール。 この曲にアンコールがある体験は初めて。 ステンハンマルの弦を主体にした叙情的な曲。 ブルックナーの余韻をぶちこわすのではなく、さらに高めるような見事な選曲。ここでは弦楽器も素晴らしい響きを聴かせてくれました。 ここまで素晴らしい演奏会になるとは、(失礼ながら!)全く期待していなかったのでふと訪れた幸福感に大満足でした。 そしてサイン会。いただいたサインは昨日のエントリーで。 グリモーのサインは、私がこの人を見直すきっかけとなったショパン&ラフマニノフのCDパンフに。 そしてパーヴォさんは、どういうわけかステンハンマルのものに。 サインをしてもらおうと、係の人に2つのパンフを渡すと、あまりのグリモー人気に手持ちぶたさのマエストロが真っ先にステンハンマルのパンフに反応しました。 P:「ステンハンマル!」 おおお、反応してる。 (わけ分からずしどろもどろで) m:「イッツ、ア、マイ、フェイヴァリット、CD!」 (私の顔を見て) P:「アンコール(でやったの、お前、知ってるか)?」 m:「い、イエス、ア、アイ、ノウ、」 (ああ、なんて受け答えだorz) 横にいたグリモーが 「なになに?なんのCD?」とステンハンマルのパンフをのぞき込む。 それを受けてパーヴォさん、 「ウリウリ、どうよ、今日、アンコールでやった作曲家よ、しっとるけぇ〜」的態度。 「へぇ〜〜〜〜面白そうなCD?!」という表情のグリモー。 そして、書き終わったショパン&ラフマニノフのパンフを手にして 「あれ?これ、誰のだっけ?」という顔をしているところ 私が手を差し出すとにこやかに 「どうもありがとう!」と。 いやぁ、名付けて 「史上最大:ステンハンマル作戦!」 大・成・功?! アンコールの選曲と私のCDチョイスがマッチしてマエストロも反応してくれたようです。 ちょっとしたやりとりでしたが演奏中も終演後も、大満足の一晩でございました。。。 遅くまで残ってサインを書いてくれた2人に感謝です。 ほんとうにありがとう! |
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P席だったんですねー。あの、私も気になった音があったんですけど、金管(コントラバスの右横だった4人衆←すいません、楽器名が曖昧です。)の一人が、唾を取ろうとしてる?音が耳障りで(^^; トランペットの人も嫌〜な顔を思い切りしてたのを見逃しませんでした!あと、2stVnに菊川さんに激似の方が居ましたの。まさかトラ!?これはもう、絶対にminaminaさんに聞かなくちゃって思ってましたが、P席だと判別不可能!?うー残念。余談ですが、サイン会の時に神尾まゆこさんをお見かけしました。席も近くてビックリ。 |
がちゃ子 URL 2008/06/06 00:00 |
それはきっとワーグナー・テューバの4人衆ではないでしょうか?あの楽器は音が通りづらくて、難しい楽器なのです。上手くコントロールできないとただの息漏れみたいな音がします。よって唾抜きも大きな音が出るのでしょう、おそらく。 |
minamina 2008/06/07 11:35 |
そんな楽器だったんだー。知りませんでした。それから、菊川さんのスケジュールをお調べくださって、恐縮です(^^;;; そっかーやっぱり違ったか。近くの席の方も「似てるよねぇ〜」 と仰ってたので、まさかヴェルビエ繋がりで!?と一人妄想しちゃったデス・・・。 |
がちゃ子 2008/06/08 00:20 |
うわわわっ! |
左党 URL 2008/06/08 20:57 |
み、見事というか・・・語学が出来ればなぁ・・・と自己嫌悪に陥ったのも事実でございます(涙)。 |
minamina 2008/06/08 23:22 |
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